「そんなつもりじゃなかった」——セクハラをめぐるトラブルでは、加害者側からよくこの言葉が出てきます。

しかし、セクハラに該当するかどうかを決めるのは、受け手がどう感じたかです。

「冗談のつもりだった」「相手も笑っていた」といった言い分は、法律上ほとんど考慮されません。

職場での何気ない一言や行動が、知らないうちにセクハラと認定されてしまうケースは少なくなく、逆に被害を受けた側にとっても「これはセクハラと言えるのか」といった疑問はつきものです。

この記事では、セクハラの法的な定義や判断基準に加え、慰謝料について実際の判例を交えて解説します。

┃セクハラとは?法律上の定義

セクハラ(セクシュアルハラスメント)は、男女雇用機会均等法によって次のように定義されています。

職場において、労働者の意に反する性的な言動が行われること、そして、それを拒否したことで解雇や降格などの不利益を受けたり、就業環境が悪化したりすることです。

セクハラには大きく分けて2つの類型があります。

📌対価型

性的な言動への対応(拒否など)を理由に、解雇・降格・減給といった不利益を受けるケース

📌環境型

卑猥な発言や画像の掲示、不必要な身体接触などによって、職場環境そのものが悪化するケース

なお「職場」の範囲は、オフィスに限りません。

出張先・取引先との打ち合わせ場所・接待や懇親会の席など、業務の延長とみなされる場面も含まれます。

また、加害者・被害者の性別は問わず、異性間だけでなく同性間でも成立します。

┃どこからがセクハラ?判断基準は3つ

セクハラかどうかの判断でよく挙げられるポイントは、次の3つです。

✔ 相手の意に反しているか

行為者が冗談のつもりでも、恋愛感情に基づく発言でも関係ありません。

受け手が不快と感じたかどうかが基準になります。

✔ 就業環境を害しているか

一度きりの言動であっても、強い精神的苦痛を伴えばセクハラと認定されることがあります。

✔ 「平均的な労働者」の感じ方が基準

被害者個人の主観だけでなく、同じ立場の一般的な労働者ならどう感じるかという客観的な視点も加味されます。

具体的には、交際経験や体形など私的な事柄への質問・しつこい食事やデートの誘い・業務上必要のない身体接触などが該当しうる言動として挙げられます。

これらは社内のチャットやSNS上のやりとりでも成立する点に注意が必要です。

┃セクハラの慰謝料相場はいくら?

気になる慰謝料の金額ですが、複数の法律事務所の解説を見る限り、相場はおよそ数十万円から300万円程度です。

ただし、これはあくまで目安であり、事案の内容によって大きく変動します。

金額を左右する主な要因は以下の通りです。

📌行為の内容・悪質性(発言のみか、身体接触を伴うか)

📌行為の頻度・継続していた期間

📌被害者への影響(休職や退職に追い込まれたかどうか、心身への影響の程度)

📌会社側の事後対応(放置したか、適切な措置を取ったか)

📌加害者と被害者の力関係(上司からの行為かどうかなど)

このように、慰謝料額は個別の事情を総合的に考慮して決まるため「このような行為なら必ずいくら」という一律の基準があるわけではありません。

同じような発言であっても繰り返し行われていたか、被害者が抗議した後も続いたかによって、認められる金額は大きく変わってきます。

実際の裁判例を見ると、発言のみで身体接触がなかったケースでは慰謝料20万円程度にとどまった一方、身体接触を伴うケースでは120万円、会社の対応不備も認められたケースでは150万円といった判決が出ています。

退職を余儀なくされ逸失利益まで認められた事例では慰謝料250万〜330万円に及び、強制わいせつに相当する極めて悪質なケースでは1,000万円という高額な慰謝料が命じられた例もあります。

┃求職者等へのセクハラ防止も義務化へ

2025年6月に成立した改正男女雇用機会均等法により、2026年10月1日から、これまで対象外だった求職者等に対するセクハラ防止措置が、企業規模を問わずすべての事業主の義務になります。

就職活動中の学生やインターン参加者への「就活セクハラ」が社会問題化していたことが背景です。

対象になるのは、採用面接・会社説明会・インターンシップ・OB・OG訪問などの場面です。

企業には相談体制の整備など雇用管理上の措置が求められ、勧告に従わない場合は企業名が公表される可能性もあります。

従業員だけでなく、これから入社する可能性のある求職者まで保護の対象が広がる点が、今回の改正の大きなポイントです。

┃セクハラを受けたら、あるいは疑われたら

被害を受けた場合は、社内の相談窓口のほか、労働局の総合労働相談コーナーや弁護士に相談する方法があります。

慰謝料請求を検討する際は、日時や内容を記録したメモ・メールやチャットの履歴・可能であれば録音など、証拠を残しておくことが重要です。

証拠が乏しいと、後から事実関係を立証するのが難しくなり、交渉や訴訟で不利になる場合があります。

一方、行為者として指摘された側も、自己判断で「大したことではない」と考えるのは危険です。

被害者が正式に相談窓口へ申し出た段階で、懲戒処分や配置転換といった社内処分に発展することもあります。

企業側は、日頃からの研修や相談体制の整備、そして相談があった際の迅速で公平な対応によって、トラブルの未然防止と拡大防止に努める必要があります。

┃よくある質問

Q1. 一度だけの発言でもセクハラになりますか?

はい、なり得ます。回数の多さは判断材料の一つですが、一度きりの言動であっても、内容が悪質で強い精神的苦痛を与えるものであれば、セクハラと認定されることがあります。

Q2. 「冗談のつもり」だった場合でもセクハラになりますか?

なります。判断基準は行為者の意図ではなく、受け手が不快に感じたかどうかです。

Q3. 同性同士でもセクハラは成立しますか?

成立します。セクハラは異性間に限らず、同性間の言動や、相手の性的指向・性自認にかかわらず該当する可能性があります。

Q4. 勤務時間外の飲み会での言動もセクハラになりますか?

なり得ます。懇親会や宴会など、実質的に業務の延長とみなされる場であれば、勤務時間外であっても「職場」と同様に扱われます。

Q5. 慰謝料はどのように決まりますか?

行為の内容や悪質性、頻度、被害者への影響(休職・退職の有無など)、会社側の事後対応といった事情を総合的に考慮して決まります。

一律の金額表があるわけではありません。

Q6. 会社にも慰謝料を請求できますか?

できる場合があります。

会社が適切な防止措置や事後対応を怠っていたと認められれば、加害者本人だけでなく、会社にも損害賠償責任が生じることがあります。

Q7. セクハラを相談したら不利益な扱いを受けませんか?

男女雇用機会均等法では、ハラスメントを相談したことを理由とした不利益な扱いを禁止しています。

不利益な扱いを受けた場合は、労働局の相談窓口などに相談することができます。

┃まとめ

セクハラは行為者の意図ではなく、受け手が不快に感じたかどうかで判断されます。

慰謝料相場は数十万〜300万円程度が目安ですが、悪質性や被害の程度によって大きく変動します。

2026年10月からは求職者等への防止措置も義務化されるため、企業・個人ともに最新の動向を押さえておくことが大切です。

お仕事を探したい、求人・人材・派遣について相談したい方は株式会社NCIへ

株式会社NCIは、福島県・新潟県に特化した人財サービス会社として、 地域の企業と働く人をつなぐ役割を担っています。

私たちが大切にしているのは、単なる人財紹介ではなく、 企業の課題と求職者の希望に向き合い、就業後の定着・活躍まで支えることです。

地域に根ざした伴走者として、働く人と企業の未来に貢献していきます。

記事(ニュース)検索

最新の投稿