「これってパワハラなのか」「誰に相談すればいいのかわからない」——職場で周りの言動に悩みながらも、一人で抱え込んでいる人は少なくありません。

厚生労働省の集計では、「個別労働紛争解決制度」における「いじめ・嫌がらせ」の相談件数が令和6年度に54,987件となり、13年連続で相談内容のトップとなっています。

あなたが感じている苦しさは、決して珍しいことでも大げさなことでもありません。

この記事では、パワハラ・モラハラの基本的な見分け方から、証拠の残し方、状況に応じた相談先の選び方、慰謝料請求の相場まで、被害を受けたときに実際に役立つ情報をまとめました。

┃パワハラの定義とは?

厚生労働省の定義では、

①優越的な関係を背景とした言動 ②業務上必要かつ相当な範囲を超えたもの ③労働者の就業環境が害されるもの

という3つの要素をすべて満たす行為を指します。

具体的には、暴言や人格否定などの精神的な攻撃、無視や隔離といった人間関係からの切り離し、明らかに達成不可能な業務を課す過大な要求、逆に仕事を与えない過小な要求などがあります。

パワハラとモラハラの違い

モラハラはパワハラと混同されがちですが、いくつかの違いがあります。

厚労省の指針では、パワハラの前提となる「優越的な関係」には役職の上下以外に、知識・経験・スキルなどによる優位性・集団で行われる行為も含まれるため、部下から上司・同僚間で行われる行為もパワハラに該当し得ます。

これに対してモラハラは、こうした優位性の有無にかかわらず、誰から誰に対しても起こり得る精神的な嫌がらせを広く指します。

また、パワハラには身体的な攻撃が含まれることがありますが、モラハラは無視や人格否定といった精神的な攻撃にとどまる点も大きな違いです。

モラハラは周囲から見えにくいため、被害者本人が「自分の受け止め方がおかしいのでは」と孤立を深めてしまいやすい点にも注意が必要です。

┃被害を受けた時の証拠の残し方

何をするにもまずは証拠が必要です。

「録音していないから証拠がない」と諦めてしまう方は多いですが、そんなことはありません。

録音はあくまで証拠の一手段に過ぎず、なくても相談や申告は十分に可能です。

継続的なメモや日記による記録と、周囲の証言を組み合わせることで、法的な手続きも認められるケースは多くあります。

被害を受けたその日のうちに、次の5点を記録しておくことをおすすめします。

📌発生した日時と場所

📌発言・行為の具体的な内容(できる限り一言一句)

📌その場に居合わせた人物

📌自分の身体的・心理的な状態

📌その後の経緯(上司への報告の有無など)

パワハラに当たる発言のみを断片的に録音しても証拠としての価値は限定的です。

それよりも、いつ、どこで、何が起きたかを継続的に積み重ねて記録することのほうが、後々の相談や請求において力を持ちます。

パワハラに当たる例・当たらない例

実際にどのような言動がパワハラに当たるのか、イメージしづらい方も多いかもしれません。

パワハラの例をいくつか挙げると、

❌大勢の前で「お前は新入社員以下だ」と繰り返し叱責される

❌必要な業務情報だけをあえて共有されない

❌有給休暇を取得する理由をしつこく詮索される

といった行為があり、いずれも典型例です。

ただし、業務上必要かつ相当な範囲内で行われる指導や注意は、たとえ厳しく感じてもパワハラには当たらないとされています。

この線引きを意識しておくと、自分の状況を客観的に見つめ直しやすくなります。

┃相談先の選び方

相談先は一つではありません。自分の状況や希望に応じて選ぶことができます。

社内で解決したい場合

会社に設置されているハラスメント相談窓口や、信頼できる同僚・人事担当者に相談しましょう。

2022年4月以降、相談窓口の設置はすべての企業に義務付けられているため、多くの職場に窓口があるはずです。

中立的な立場からアドバイスがほしい場合

全国の労働局・労働基準監督署に設置されている「総合労働相談コーナー」が便利です。

パワハラに限らず、解雇や賃金問題も含めて無料で相談でき、匿名での相談も可能です。

人権問題としての側面から相談したい場合

法務省が運営する「みんなの人権110番」(0570-003-110、平日8:30〜17:15)が窓口になります。

法務局職員や人権擁護委員が対応し、必要な支援措置につながることもあります。

会社を通さず交渉したい場合

労働組合(ユニオン)への相談も選択肢です。

集団で会社と交渉できる可能性がありますが、組合費が発生する点は留意しておきましょう。

慰謝料請求など法的な解決を目指す場合

弁護士や法テラスへの相談が適しています。

弁護士に相談すれば、証拠の集め方や請求できる金額の見通しについて具体的なアドバイスを受けられ、交渉や訴訟が必要になった場合もそのまま代理を依頼できます

┃慰謝料相場について

パワハラに関する慰謝料の相場は、一般的に50万円〜100万円程度とされています。

ただし、被害の期間や頻度・加害者の立場・会社側の対応の適切さ・実際に生じた健康被害の程度によって金額は大きく変動します。

休職や精神疾患に至った深刻なケースでは、相場を大きく上回る賠償が認められることもあります。

弁護士に依頼する場合の費用は、着手金が請求額の8%程度・慰謝料獲得時の報酬金が16%程度が一つの目安とされていますが、事務所によって異なるため事前の確認が欠かせません。

┃匿名でも相談できる?

「名前を出すのが怖い」という理由で相談をためらう方もいるかと思います。

総合労働相談コーナーやみんなの人権110番であれば、匿名での電話相談にも対応しています。

ただし、匿名相談は身元がばれる心配なく気軽に話せる一方で、具体的な調査や是正措置には結びつきにくいという側面もあります。

まずは匿名で状況を話し、相談員のアドバイスを聞いたうえで、次にどう動くかを考えるという使い方も選択肢の一つです。

┃よくある質問

Q. パワハラとモラハラの違いは何ですか?

パワハラは役職・知識・経験・人数などの優位性を背景に行われる行為で、部下から上司や同僚間でも成立し得ます。

モラハラはこうした優位性の有無にかかわらず、誰から誰に対しても起こり得る精神的な嫌がらせを指し、身体的な攻撃を伴わない点が主な違いです。

Q. 録音がなくてもパワハラを証明できますか?

できます。録音は証拠の一手段に過ぎず、発生日時・場所・発言内容・同席者・自分の心身の状態をその日のうちに継続して記録しておけば、法的手続きでも証拠として認められるケースは多くあります。

Q. 会社の相談窓口に相談すると不利益な扱いを受けませんか?

パワハラ防止法により、相談したことを理由とした解雇や降格などの不利益な取扱いは禁止されています。

それでも不安な場合は、社外の総合労働相談コーナーやみんなの人権110番など、会社を介さない窓口も選べます。

Q. 匿名でも相談できますか?

総合労働相談コーナーやみんなの人権110番は匿名の電話相談に対応しています。

ただし匿名相談は具体的な調査や是正措置に直結しにくいため、まず状況を話して次の一歩を相談員と一緒に考える使い方が現実的です。

Q. パワハラの慰謝料はどのくらいもらえますか?

一般的な相場は50万円〜100万円程度とされていますが、被害の期間・頻度・加害者の立場・健康被害の程度によって金額は大きく変動します。

休職や精神疾患に至った深刻なケースでは、相場を上回る賠償が認められることもあります。

Q. 弁護士に相談する場合、費用はどのくらいかかりますか?

着手金が請求額のおおよそ8%、慰謝料獲得時の報酬金がおおよそ16%が一つの目安とされています。

ただし事務所によって料金体系は異なるため、相談時に必ず確認しましょう。

Q. どこに相談すればいいか迷ったらどうすればいいですか?

まずは全国の労働局・労働基準監督署にある総合労働相談コーナーに相談するのがおすすめです。

パワハラに限らず労働問題全般を無料で相談でき、状況に応じて他の適切な窓口を案内してもらえます。

┃まとめ

パワハラ・モラハラは、我慢を続けても状況が自然に改善することはほとんどありません。

まずは今日から、起きたことを記録することから始めてみてください。

そのうえで、社内窓口・総合労働相談コーナー・みんなの人権110番・弁護士など、自分に合った相談先へ一歩を踏み出すことが、状況を変える最初のきっかけになります。

お仕事を探したい、求人・人材・派遣について相談したい方は株式会社NCI

株式会社NCIは、福島県・新潟県に特化した人財サービス会社として、 地域の企業と働く人をつなぐ役割を担っています。

私たちが大切にしているのは、単なる人財紹介ではなく、 企業の課題と求職者の希望に向き合い、就業後の定着・活躍まで支えることです。

地域に根ざした伴走者として、働く人と企業の未来に貢献していきます。


記事(ニュース)検索

最新の投稿