ホーム » ニュース » 派遣について » 派遣と出向の違いとは?仕組みや偽装出向についても含めて解説
alt="派遣と出向の違いについて疑問を持つ女性”

派遣と出向は、企業の人材活用手段として広く使われています。

しかし、どちらも「自社以外の企業で働く」という共通点がある一方で、雇用関係や法的な位置づけ、制度の目的は大きく異なります。

この違いを正しく理解していないと、企業側では労務トラブルや法令違反のリスクが生じ、働く側にとっても不安定なキャリアにつながりかねません。

本記事では、それぞれの仕組みや法律上の扱い、注意点などを解説していきます。

派遣とはどのような働き方なのか

派遣は、派遣会社と雇用契約を結んだ労働者が派遣先企業で業務に従事する状況を指します。

派遣社員は派遣先の職場で働きますが、雇用主はあくまで派遣会社です。

給与の支払いや社会保険の手続き、雇用管理も派遣会社が行います。

一方で、日々の業務指示や勤務上の指揮命令は派遣先企業が行う所が派遣の大きな特徴です。

このように、雇用と指揮命令が分かれている仕組みは、労働者派遣法によって細かくルールが定められています。

派遣は欠員補充や繁忙期対応などの一定期間だけ人材が必要な場面で活用されることが多く、企業にとっては柔軟な人材確保手段といえます。

働く側にとっても職種や勤務地、勤務時間を比較的選びやすいというメリットがあります。

関連記事 → 人材派遣事業とは?仕組み・仕事内容・必要スキルまで徹底解説

出向とは何か、その基本的な考え方

出向とは、現在所属している会社との雇用関係を維持したまま、別の会社で働く制度です。

派遣とは異なり、出向者は原則として出向元企業の社員であり続けます。

給与の支払いや人事評価も、出向元と出向先の取り決めに基づいて行われるのが一般的です。

出向には、

・出向元企業との契約を継続したまま出向先企業で一定期間働く「在籍出向」

・契約を解消して出向先企業と新たに契約を結ぶ「移籍出向」

この2つのやり方があります。

企業グループ内での人材育成や取引先との関係強化を目的として行われることが多いです。

なお、出向は労働契約法や民法の考え方をベースに運用される制度であり、派遣のように専門の法律で明確に定められているわけではありません。

そのため、出向契約の内容や本人の同意が非常に重要になります。

違反行為として問題となる「偽装出向」とは

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派遣と出向を理解するうえで、注意しておきたいのが「偽装出向」です。

偽装出向とは、契約上は出向とされていても、実態としては出向元企業が雇用主としての役割を果たしておらず、出向先企業が業務指示や労務管理などを主導している状態を指します。

このような場合、出向ではなく実態に応じて労働者派遣と判断される可能性があります。

出向は出向元企業が雇用関係を維持し、人事管理にも関与することを前提とした制度です。

そのため、派遣の規制を回避する目的で形式的に「出向」という形を取っていても、実際の働き方が派遣と変わらなければ、労働者派遣法違反として問題になることがあります。

※偽装出向は、1年以下の懲役又は100万円以下の罰金が科せられます。

派遣と出向の決定的な違い

派遣と出向の最大の違いは、雇用関係にあります。

派遣は派遣会社が雇用主となり、派遣先企業は業務の指示を行う立場です。

出向では雇用主は出向元企業のままであり、出向先で働いていても社員としての身分は基本的に変わりません。

また、制度の目的にも違いがあります。

派遣は外部の労働力を必要な期間だけ活用するための仕組みであるのに対し、出向は自社社員の育成や配置転換、組織再編といった中長期的な人事戦略の一環として行われることが多い制度です。

適用される法律が異なる点も重要です。

派遣は労働者派遣法によって厳格にルールが定められており、契約期間や業務範囲、指揮命令の内容にも制限があります。

出向は個別の契約内容に基づいて運用されるため、企業間の取り決めが実務上の鍵を握ります。

派遣と出向の使い分け

alt="派遣と出向を使い分ける女性”

・企業側

派遣を利用する最大のメリットは、人材を必要な時に必要な分だけ確保できることです。

採用活動にかかる時間やコストを抑えつつ即戦力となる人材を確保できるため、業務の効率化につながります。

一方で、派遣社員は契約期間に上限があり、長期的な戦力育成には向いていません。

そのため、業務内容や役割を明確にしたうえで活用する必要があります。

出向の目的は、社員の経験値を高めたり新しい分野に挑戦させたりすることが多いです。

そのため、企業の人材育成や組織戦略と密接に関わります。

ただし、本人の同意が原則必要であることや人件費の負担割合などを事前に明確にしておかなければ、トラブルの原因になる可能性があります。

・働く側

働く側の視点で見ると、派遣は働き方の自由度が高い点が魅力です。

家庭やプライベートとの両立を重視したい人や特定のスキルを活かして働きたい人にとっては、有力な選択肢となります。

ただし、雇用が期間限定になることが多く、安定性の面では正社員に劣る場合があります。

出向は、正社員としての身分を維持しながら異なる環境で経験を積める点が大きな特徴です。

キャリアの幅を広げるチャンスになる一方で、環境の変化に適応する負担や将来的なキャリアパスが見えにくくなる不安を感じる人も少なくありません。

派遣と出向、どちらを選ぶべきか

結論から言うと、目的や状況に応じて選ぶべき制度です。

短期間で柔軟に人材を確保したい場合    → 派遣が適している

社員の育成や組織全体の戦略を重視する場合 → 出向が適している

制度の違いを理解せずに導入すると、法令違反や労務トラブルにつながる恐れがあります。

企業側・働く側の双方がそれぞれの特徴とリスクを理解したうえで判断することが重要です。

まとめ

派遣と出向は一見似ているようで、その仕組みや役割は大きく異なります。

雇用関係や法律上の位置づけ、制度の目的を正しく理解することで、適切な人材活用やキャリア選択が可能になります。

変化の激しい時代だからこそそれぞれの違いを理解し、自分たちに合った形を選ぶことが安定した働き方・企業成長につながるといえるでしょう。


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